福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

貧しい老後

2011-10-15 | 法話
先日七十歳前後の親類縁者が10数名集まりました。いずれもリタイアして永く,孫もいる人たちばかりです。ところが話題はいずれも政治談議ばかり。TV評論家顔負けの議論に数時間つきあった当方も辟易しましたがこれが現代の平均的老人像なのでしょう。元気がありあまっているのでそのエネルギーの発散場所をしらないのです。


「マヌ法典」では、人生を学生期、家住期、林住期、遊行期に分けます。
そして子育てを終えたあとは、家を出て森林に移り住む「林住期」に移行せよといいます。「家住者、顔に皺より、毛髪灰色となり、その子に子息を見るに至らば、その時、彼は森林に赴くべし」「耕作による全ての食物、及び彼のすべての財産を捨て、その妻を子に託し、或いはこれを伴いて森林に赴くべし」 「規定に基づき三火にて火祭を行ひ、適時に、新月、満月祭を行ふを怠るなかれ」「乾地、或いは水中に生じたる野菜・花・根・果実、浄き樹木に生じたるもの、及び森林に生ずる果実より抽出したる油を食すべし」といい、
 さらに最後に「遊行期」に移行することを促します。
 「されど、かくして人生の第三の部分を森林にて過ごしたる後は、世事に対するあらゆる執着を捨てて、その生涯の第四の部分を遊行に過ごすべし」「捨つることなく、捨てらるることなき孤独者に、解脱の成就ありと了知し、常にただ独り、成就を求めて、伴侶なく遊行すべし」「死を希ふことなく、生を希ふこと勿れ。下僕がその報酬を待つが如く、時期をのみ待つべし」「最高我を楽しみ、坐禅し、外部の助けによらず、肉欲を全く断ち、己れのみを伴侶となし、解脱の福祉を希ひてこの世に住すべし」。

こうして死を迎える前に解脱せよと説くのです。

現代という時代の底知れぬ不幸は「マヌ法典」と比べたとき明らかでしょう。

 
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