福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

武藤三治「品性」

2018-06-17 | Q&A
実業読本、(武藤三治・・明治・大正・昭和前期の経営者、紡績王。日本的経営論を考案。渋沢栄一らの「政商」を排斥。)より

「品性
私は大正八年十月、ワシントンに開催された国際労働会議へ臨んだ際、品性なるもののいかに尊ぶべきものなるかを痛感した。・英国労働代表の方々と親しく食事を共にしてその品性のいかにも高いのに敬服した。
該労働会議は世界各国の品性の試験場ともいうべきもので、品性は世界における最大原動力の一つなりというスマイル博士の発言は如何にもその通りであるがそこに現れた各国人の品性を見比べて我が国民は品性の上にも大いに修養を積む必要を深く感じた。私は会社の従業員にはスマイル博士の「品性論」を与え、品性を磨くよう奨励している。・・会社の従業員を英国に送り英国の工場を見せることにして毎年繰り返し相当の人数を送った所が・・深き感化を受け、・・一般従業員の品性の向上に良好なる結果を得た。・・品性は人生において最も大切なものであって,・・富の力よりも品性の及ぼす感化が一層社会の円満なる向上発展に貢献するものである。・・ドイツが第一次大戦を引き起こし敗れたのは、ドイツ人の品性が粗豪驕慢で全くドイツ国民の品性の低きがためであった。・・、しからざるものは衰亡の運命を免れぬ。私は最後にルーテルの言葉を引用して品性の大切なることを重ねて記し置く。「一国の繁栄はその国歳入の多きによるにあらず。・・公共建築物の美なるによるに非ずして、教化せられたる市民の多数、教育あり、修養あり、品性ある人の多数なるによる。真正の国利・国力・国威ここにあり。・・・金を儲けて金持ちと成ることは何人も望む所であるが、それは人生における最後の勝利ではない。人生における最後の勝利は正義の為に尽くすことである。人の心の満足は金儲けをするところに非ずして、儲けた金を以ていかに社会の為に尽くすかである・・シェークスピアの一句をもって結ぶ『汝富むと雖もなお貧しきに同じ。例えば金塊を負いたる駄馬の如し。重き富を負うといえども畢竟行旅のみ、死はただ汝の重荷を卸すなり。』」

品性論には「心の持ち様は、人生をその様に導く。人生は自分の撒いた種でできあがる。」とありました。
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