福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

虫の音に秋の気配

2015-09-16 | 法話
夕暮に一橋通りを歩いていると今まで蝉の声が響いていた桜の下で今度はいつの間にかすだく虫の声がきこえます。蝉の声から虫の音へあっという間に変わっていきます。
「ふかゝらぬ庭の草にも虫のねのきこゆる秋となりにけるかな」とは明治天皇の御製です。
貝原益軒の楽訓にも「秋は夕暮れの景色こそただならず見ゆれ。薄霧のまがきに立ち上るよそほひ、風のおと、虫の音、いずれとなく人の心にしみて、春にもまさりあはれふかし。・・」とあり、
西行法師は続拾遺集に「あき風に穗ずゑ波よる苅萱の 下葉に虫の声乱るなり」とか「あき風のふけ行く野辺の虫の音のはしたなきまでぬるる袖かな(山家集)」とか歌っておられます。
慈雲尊者は「無門関評釈」の中で「大力量底の人」として「夕去ればたれ松虫におもひいずる ねをのみなきし いもがおもかげ」と歌っておられます。ここまでくると理解不能になりますが・・。

(参考・・無門関第二十則 【大力量人】
<本則(ほんそく)>
松源和尚が言われた、「修行によって勝れた力を発揮できるような人が、
いったいどうして坐禅から立ち上がろうとしないのか」。また言われた、「どうして舌を使って話さないのだろうか」。
<評唱:公案に対する無門禅師の禅的批評>
無門は言う、「松源和尚は、なんと腸までさらけ出したものだな。ただ受け止める人がいないだけなのだ。
しかし、たとえきちんと受け止めることができたとしても、やはりこの無門のところに来て痛棒を受けてもらいたいものだ。それは何故か。 さあどうだ。純金かどうかは、火を通せばいっぺんだ。」
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