日本は大乗相応の地であること・・その10
時代が下って源平の争いの時代に成ると世の中が乱れて思想とか信仰と言うものが地を這うような時代になりました。鎌倉幕府の時代となりますとこれまでの沈滞した仏教ではおさまらない民衆の動きがはっきりとでてまいりまして、この前後にわたってあたらしい大乗仏教を樹立せられる大宗教家が次々と輩出せられたのであります。この新しい大乗仏教の先駆者となられたのが法然上人でありまして、この法然上人のお弟子の親鸞聖人、それから親鸞聖人よりも御年は少し後輩の道元禅師、これと前後して日蓮上人、一方には親鸞聖人と同年配であって法然親鸞両聖人とは反対の立場に立たれた栂尾の明恵上人(『摧邪輪』を著し,法然の説く「専修念仏」には「発菩提心」が欠けていると非難)、それから道元禅師のずっと先輩で法然上人の8歳後輩の栄西禅師、こういう偉大な宗教家が彬々として踝をついであらわれたのはまことに日本歴史の一大偉観でありました。すなわち法然・親鸞両聖人の浄土宗・浄土真宗、栄西・道元両禅師の曹洞宗・臨済宗、日蓮上人の日蓮宗、明恵上人の華厳宗復興、こういう風に新しい大乗仏教運動が百花繚乱の姿でこの時代に起こってきたのです。そうしてそれから今日に至る七・八百年の長い年月にわたって日本仏教の主流となって民心を霑し、國體の精華を発揚してきたのであります。(鈴木大拙は「日本的霊性」で「鎌倉時代になって日本人は本当に霊性の生活に目覚めたといへる。平安時代の初めに伝教大師や弘法大師によりて据ゑつけられたものが大地に落付いてそれから芽を出したといへる。・・平安朝の四百年も決して無駄ではなかった、何れも鎌倉時代の為の準備であった。・・ここで美しき思想の草花が咲きだした。そして七百年後の今日にいたるまでそれが大体において吾等の品性・思想・情調を養ふものになってきた。今後恐らくはかうして養はれて来たことが基礎と成って其の上に世界的な新しきものが築かるることと信ずる。ここに今日の日本人の使命がある。」と書いています。)
」
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