
デボネアである。
正式には「デボネア・エグゼクティブ」である。
小さい頃、エグゼクティブの意味がいまひとつ判らなかった。
その後、日本も立派に成長してバブルに向ってまっしぐら。
世界でも有数のお金持ち国家!
ジャパン・アズ・No.1、ジャパンマネーだ!
巷にエグゼクティブという単語が踊り狂う。
「ハイソ」「VIP」「ヤンエグ」・・・
それ以前にも車のグレード名に使われたのは
「スーパー」「カスタム」「デラックス」「エクストラ」「ロイヤル・・」などがあったが、どんどん頂上に向って突き進む。いや、突き進んでしまった。
もはや「アルティマ」だ。

そして今、「エグゼクティブ」という単語を使うことは最早無いだろう。
憚られる(ハバカラレル)どころではない。
死語になったのだ。

なんとも微笑ましい。
VWはポルシェと買収劇を繰り広げているのだが、
さて最後はどうなるのか。

この車はリーゼントで乗らなければいけない。
助手席は白いフリルのワンピースで赤いベルトできつくウエストを締めた
女性でなければならない。
サングラスも欠かせない。

クライスラーだ。
まさか倒産してしまうとは、まあ実は倒産するだろうとは
ずっと前から思っていた会社ではある。
ちょっと実用からは離れた面白い車を作る会社だ。
ある意味、アメリカという余裕の中でこそ生き延びてきた会社だ。
すっかり余裕を失ってしまったアメリカだから仕方がない。
でも、この無意味なほどの馬力や好き勝手なスタイルを作ってしまう会社は
今後も資本はどうであれ残ってほしいものだ。
人類が全員プリウスに乗るのだけは勘弁だ。
SONY α900、タムロンA09