大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道11

2008-02-08 19:21:03 | E,霧の狐道
 俺は通気口を覗き込んだ。
穴の中は真っ暗だった。
そして、少し湿った床下の臭いが通気口の穴から流れ出していた。

“ ポシェットまで無くなっちゃった・・・。”

ウサギ小屋の方から由紀ちゃんの声が聞こえる。

「 何処、行っちゃったのよぉ~。」

俺は、ポシェットを無くして、ウサギも逃がしてしまった。
困ったなあと思いながら、ウサギ小屋に引き返した。
 ウサギ小屋には、担任の山下先生と由紀ちゃんが立っていた。

「 掃除をサボって、何処行ってたんだ!」
「 そうよ、掃いておいてねって言ったでしょ!」
「 こらっ、神谷、小屋の鍵が掛かってないぞ。
 戸を閉めただけじゃ、ウサギが体で押したら扉が開いてしまうだろ。
 逃げてしまったら、捕まえるの大変だぞ。
 一応、六匹いるから、逃げられて無いけどな・・。」
「 えっ、七匹じゃなかった?」
「 六匹よ。
 小屋に掃除に入ったとき、ちゃんといるか数えたわ。」
「 ダンボールの家の中に・・・。」
「 ダンボールの中は、藁を交換する為に覗いたわ。
 中には何もいなかったし、六匹とも家の外にいたわ。」
「 学校で飼育しているウサギは六匹だ。
 ウサギ小屋は、先生が面倒見ているから追加はいない。
 神谷、何、寝とぼけてんだ。」


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