俺は通気口を覗き込んだ。
穴の中は真っ暗だった。
そして、少し湿った床下の臭いが通気口の穴から流れ出していた。
“ ポシェットまで無くなっちゃった・・・。”
ウサギ小屋の方から由紀ちゃんの声が聞こえる。
「 何処、行っちゃったのよぉ~。」
俺は、ポシェットを無くして、ウサギも逃がしてしまった。
困ったなあと思いながら、ウサギ小屋に引き返した。
ウサギ小屋には、担任の山下先生と由紀ちゃんが立っていた。
「 掃除をサボって、何処行ってたんだ!」
「 そうよ、掃いておいてねって言ったでしょ!」
「 こらっ、神谷、小屋の鍵が掛かってないぞ。
戸を閉めただけじゃ、ウサギが体で押したら扉が開いてしまうだろ。
逃げてしまったら、捕まえるの大変だぞ。
一応、六匹いるから、逃げられて無いけどな・・。」
「 えっ、七匹じゃなかった?」
「 六匹よ。
小屋に掃除に入ったとき、ちゃんといるか数えたわ。」
「 ダンボールの家の中に・・・。」
「 ダンボールの中は、藁を交換する為に覗いたわ。
中には何もいなかったし、六匹とも家の外にいたわ。」
「 学校で飼育しているウサギは六匹だ。
ウサギ小屋は、先生が面倒見ているから追加はいない。
神谷、何、寝とぼけてんだ。」
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