大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道13

2008-02-13 20:01:19 | E,霧の狐道
 次の日、俺は冷蔵庫の野菜室からニンジンを一つ出して鞄に入れ、学校に持って行った。
そして、朝、体育館の通気口の前に置いた。
昼休みに行って見たが、ニンジンは朝のままで、ウサギの齧った跡は無かった。
 五時間目、国語の時間、俺は、ぼ~っとウサギの事を考えていた。
山下先生は、教壇に立って黒板にチョークで字を書いていた。
俺は、黒板の字をぼんやり眺めていた。
その時、右目の端に何かが動いたように感じた。
 教室の前の入り口を通して、廊下が見えている。
俺は、そちらに顔を向けた。
光の屈折か、透明な何かを通して廊下の腰板が陽炎のように波打っている。
俺は眼を凝らして、それを凝視した。

“ あれっ・・・?”

それは、サッと教室の戸の影に隠れた。

“ 透き通って透明なものが、廊下にいるぞ・・・。”

俺が廊下を見ていると、突然、山下先生の大声が教室に響いた。

「 こらっ、神谷!
 何処見てるんだ!」
「 あ、廊下にゆらゆらした奴がいるような・・・・・。」
「 あのなあ、もうちょっとまともな言い訳を考えろ。」
「 いや、ほんとに・・。」



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