俺は由紀ちゃんの後ろ姿を見ながら、お守りを握った。
由紀ちゃんの温もりが残っているような気がした。
龍平が俺に言った。
「 カワイイ子やん。」
「 クラスの子だよ。
俺の隣の家に住んでるんだ。」
「 で、風呂の件ってなんや?」
「 いや、覗いたって疑われて・・・。」
「 風呂を?」
「 そう。」
「 ま、やりそうやけど。」
「 ち、違うって。」
「 怪しいな。」
「 ホント、ホント。」
「 ふ~ん・・・・・。」
そして、手に持ったお守りを見て龍平は言った。
「 ちょうど良かったやん。
これ持ってたら、今日の晩は大丈夫なんとちゃうやろか。」
「 そう、そう言う気がする・・。」
俺は由紀ちゃんのくれたお守りを見た。
“ お守りか・・・。”
俺は今までお守りなんて持ったことも無かった。
でも、持っていれば、安心なのかも知れないとも思えた。
お守りの絵を見ると、キツネがちょこんと座っている。
“ このキツネ、あのキツネかな?”
イタズラされて困った、あのキツネの顔が頭に浮かぶ。
“ でも、鍵は咥えてなかったよな・・・。”
俺はお守りをそっと枕もとの引き出しに入れた。
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