俺は、マズイことを聞いたかなと思って話を変えた。
「 えっと・・・・、ここ大きい病院だな。」
「 ああ、そうやろ。
親父があちこちで経営してる。
チェーン店みたいなモンや。
親父は外科が専門なんやけど、最近は医学よりも経済学や。」
「 一人っ子だったら、医者になるの?」
「 そうやな、医者やな。」
「 じゃ、勉強、大変なんだァ。」
「 ああ、毎日、塾や。
医学進学コースやで。
休みは土日だけやから、結構、大変なんや。」
「 俺、そんなに勉強するのイヤだなァ~。」
「 アハハ、わいは力を付けて、親を頼らず一人で生きて行くんや。」
「 ふ~ん、お金持ちにはお金持ちの苦労があるんだな・・・。」
「 貴志は、学校から帰ったら、いつも何してるんや?」
「 えっ、俺・・・・。
えっと、学校から帰ったら・・・・。
玄関に鞄を放り出して、友達の所に遊びに行くか、コタツから首だけ出して、
テレビマンガの再放送を見るか、どっちか・・・。」
「 おまえ、幸せな奴っちゃなァ~。」
「 そうかなァ~。」
「 そう言うのを、何気ない幸せちゅうんや。」
「 そうかァ~、俺って幸せなんかァ~。
そうかァ、そうなんだ、ふふ!」
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