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日々の恐怖 8月12日 怖い話が大好き(6)

2017-08-12 18:59:49 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 8月12日 怖い話が大好き(6)




 車系霊現象の定番“手形”だ。
左側の後部座席のドアを見てみる、が何もない。
埃だらけのままで、何かが触れたり擦れたりした跡もない。
 一応全体をよく見たが何もない。
無いならいい、無くていいんだ。
 あの子供は見間違いで、信号は誤作動だった。
これで一件落着だ。
 そこで、昨日車に置きっぱなしにした荷物を取ろうと、左側の後部座席のドアを開けた。

“ コロン。”

と、何かが落ちた。
 地面に落ちたそれをよく見てみる。
水色の丸くて平べったい大きめのボタンだ。
 絶対にオレの服のものじゃない。
昨日は友達も乗せてない。
オレの車は友達の家に置いて、友達の車で遊んだからだ。
 どうしても昨日見た子供と関係あるものと考えてしまう。
子供服や園児服のボタンに、どうしても見えてしまう。
 もう素手では触れない。
車からティッシュを3枚取りボタンの上に乗せて、そのままつまみ上げぐしゃりと包んだ。
 今度はコレをどうするかだ。
その辺に捨てたら何か悪い事が起こりそうな気がする。

“ もうこうなったらしょうがない・・・・。”

まだ明るい今ならばと、オレは昨日の交差点へと向かった。
 現場に着き、車から降りて少し周りを見て回った。

“ もしかしたら、花束でも供えているんじゃないか・・・?”

と思ったが、何もなかった。
 オレは昨日子供の背中が見えた辺りにいき、ボタンをティッシュから取り出して林に放り投げた。

“ 返したからな、頼んだぞ!”

と心の中で言い、途中で買ったコーラをドボドボと道路の脇に流した。
 傍から見ればゴミと飲み物を捨てただけの、けしからん野朗だが、俺なりの供養のつもりだった。
 帰り道、

“ 子供に言い聞かせるには、言葉が少し足りなかったかな・・・。
ちゃんと伝わったかな・・・・?”

と少し不安になったが、その後何もないので大丈夫だったのだろう。
友達とは今でも遊んでいるが、その道は使わず遠回りして帰っている。














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