日々の恐怖 8月31日 防犯カメラ(2)
エレベーターで3階に着くと、カメラが廊下を映している場所に向かう。
けれども誰もいない。
廊下の突き当たりにある非常階段も念の為に扉を開けて確認したが、そこにも人のいる気配はない。
“ エレベーターの到着する音で逃げたのかもしれない。”
そう思って、エレベーターではなく階段を降りて警備室に戻りました。
それは、非常階段ではなく普通の階段を降りて逃げてたのなら、もしかしたらばったりと会うかもしれないと思ったからです。
結局、警備室に戻る間に出くわすことはなかったのですが、再びカメラの映像に眼を向けるといるんです、同じ場所に同じ体勢で女性がそこに。
少しゾッとするものを感じながらも、
“ ああ、自分が警備室に戻ったから彼女も戻ってきたんだな・・・。”
と思い、今度は気付かれないよう、エレベーターではなく階段を昇って3階に向かうことにしました。
ライトの電源を切って足音を殺して3階まで行き、カメラの場所に近づくと一気に走って、ライトを点けてその場所を照らします。
が、誰もいません。
位置的にエレベーターの方に逃げたのなら警備員に出くわすので、非常階段の方に逃げたのかと思い、非常階段を先程の様に調べます。
ですが、やはりいません。
“ もしやこの階に自分の部屋があって、部屋に逃げ込んだのかも・・・・。”
とも考えましたが、それならドアの開閉音が聞こえるはずです。
“ そうだ、非常階段に逃げたのなら、非常ドアの開く音がしたはずだ。”
改めてそこに気付くと、冷たい悪寒が背中を走ります。
そして慌てて警備室に戻り通報した、というわけです。
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