日々の恐怖 8月29日 防犯カメラ(1)
中学時代からの付き合いで、東京で警察官をやっている友人がいます。
警察の仕事をしていてもやはり不可解な事はあるようで、
「 警察の仕事やってると、そんなものより人間の方が怖くなるわ!」
と言っていた友人が、
「 まあ、それでも変な体験をしたって話は同僚とかから聞くよ。
その内の一つで同僚の先輩が体験した話、聞く?」
と言って、話してくれたものです。
ある日の深夜、とあるマンションの警備室から、
「 防犯カメラに、血塗れの人が映っている。」
との通報が入ってきました。
その先輩が対応して、
「 血塗れなら怪我をしているかもしれないから、一応救急車にも連絡した方が良くないですか?」
と言うと、その警備員が、
「 いや、それが、なんて言ったらいいのか、いなくなるんです、そこから・・・。」
と、歯切れが悪い感じで伝えてくる。
「 は?どういうことです?」
と訊ねると、警備員は話し始めた。
その内容を湯約すると、
“ その事に気付いたのは20分程前で、3階の廊下を映しているカメラの画面にカメラに背を向けて座り込んでいる、どうやら女性らしき人物が映っている。
髪は黒のロングで白っぽいワンピースという風体だったのだが、その白いワンピースに所々血の滲んだような赤い斑点が見えている。
多少画質が悪いとはいえ、防犯カメラから見て気付くくらいだから相当出血しているに違いない。
仮に別の可能性、たとえばその女性が誰かを襲って付いた返り血だったにしても、それを確認して、事件ならば通報しなければならない。”
そう思いつつ、警備員は3階に向かったそうです。
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