日々の恐怖 8月5日 怖い話が大好き(2)
その日もいつものように友達と遊んだ帰り、その信号に差し掛かると案の定黄色に変わった。
“ またか・・・・。”
と車を止めると一瞬車が軽く揺れた。
“ 突風でも吹いたかな?”
と思ったが木々も揺れず音もしない。
“ なんだったんだ?”
と周囲を見回し、ミラーを確認する。
運転席側は何もない。
そして左の助手席側を見たとき、ハンマーで心臓を殴られたみたいなドカンという鼓動とともに全身が硬直した。
なんかいた。
ミラーになにか映ってる。
もう心臓バクバクでパニックになりそうだったが、とにかくそれが何か確認しようとよく見てみた。
信号の明かりで照らされたそれは、小さな子供の背中のように見えた。
こっちに背中を向けて肩を後部座席のドアにくっつけて寄りかかり、しゃがんでいるように見える。
しかし頭が見えない。
“ 首なし・・・?”
いや、わずかに見えている。
“ うなだれているだけか・・・?”
ミラーから目を離さずに、オレはドアロックのスイッチを手探りで探して押した。
それは、あれがドアを開けて入ってくるかも、と思ったからだ。
“ ガコン!”
という思ったよりもドアロックの大きな音がして、
“ ヤバイ!”
と思ったのと同時に、子供のうなだれていた頭が起き上がった。
起き上がった頭がゆっくりと、音のした助手席のドアの方に向き始めた。。
ハッキリと見えた。
横顔の輪郭。
鼻があって口がある。
明らかに人の顔だ。
オレは思わず目を閉じ、下を向き両手で顔を覆った。
“ くそ!完全に人じゃねえか!”
と心で叫ぶ。
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