日々の恐怖 8月16日 プール
数年前、市営プールで監視員のバイトをしたときの体験です。
そのプールでは50分に1回、利用者全員を上がらせて10分休憩を入れる。
そして底に誰か沈んでいないか、落ちていないかなどを上から確認するんだが、その時、僕はハッキリ、プールの中央に男の子が俯せに沈んでいるのを見た。
黒い水泳パンツと水泳帽で、小学校3,4年という感じだった。
潜水中で上がれのホイッスルが聞こえないのかなとも思ったが、その子はゆらゆらと水影に揺れるだけで、いつまでも動かない。
ヤバイ!と助けに飛び込んだんだが、いくら探しても、プールの底には誰もいなかった。
変だなあ、天井のライトが水に映ったのを見間違えたのかなと、首をひねりながらプールから上がったら、プールサイドで気まずそうな顔をして僕を見ている先輩と目が合った。
あとで聞いたら、そのプールでは底に沈んでる子供を目撃して、誰もいないプールに飛び込む新人監視員がたまに出るらしい。
でも、不思議なことに、そこでは過去1度も死亡事故は起きていないということだった。
僕が少年を見たのは1度きりだったが、何となく気味が悪いので今年は監視員バイトに応募しなかった。
少年を目撃したあと、雨でもないのにアパートの玄関前が濡れていたり、生まれて初めて原因不明のジンマシンが出たりと変なことが続いたし、その市営スポーツセンターは何となく嫌な感じがして利用しなくなっている。
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