日々の出来事 9月25日 バイオスフィア2
今日は、バイオスフィア2の実験が開始された日です。(1991年9月25日)
1991年9月26日には、アメリカ合衆国アリゾナ州オラクルに建設された巨大な密閉空間バイオスフィア2に8人の科学者が入りました。
このバイオスフィア2は、人類が宇宙空間に移住する場合、閉鎖された狭い生態系で果たして生存することが出来るのかを検証するための実験施設です。
そして、この実験はバイオスフィア1(つまり地球)の環境問題について研究することも目的としていました。
砂漠の中に建てられた巨大なガラス張りのこの施設は、熱帯雨林、サバンナ、海、湿地帯などの環境を世界各地から持ち込んだ動植物で再現しています。
実験は、この中で農耕や牧畜を行い、食料や水分、そして酸素を自給自足し、究極のリサイクルを目指しました。
実験は、科学者8人が2年交代で100年間続けられる予定でしたが、残念ながら2年で途切れてしまいます。
原因は、第一に大気の不安定でした。
日照不足による植物の光合成の不足と土壌中の微生物の働きによる酸素不足、また、光合成に必要な二酸化炭素も、建物のコンクリートに吸収されてしまい不足していました。
第二に大気の不安定により、植物が育たず、延いては家畜の多くが死んでしまい食料が不足したことです。
第三に閉じられた空間では、人間は情緒不安定になり、食糧不足と相まって精神的ストレスが大きくなりました。
この壮大な実験は結果としては失敗に終わりましたが、バイオスフィア2は1995年にコロンビア大学に教育施設として売却され、生態系に関する研究活動が継続されています。
この実験によって、地球環境は微妙なバランス上で成り立っていることが証明されただけでも、現在の環境問題に大きく警鐘を鳴らしました。
そう言う意味では、大きな成果は得られたと考えて良いでしょう。
バイオスフィア2
☆今日の壺々話
バイオスフィア3の失敗
「 うわァ~!!」
「 も~、うるさいなァ~。」
「 出してくれェ~~~!!」
「 もうちょっと我慢しろよ!」
「 ダメだァ~!」
「 静かにしろよォ~。」
「 もう我慢できない~~!」
「 誰だ、あの心理学者を入れようって言ったのは・・・。」
「 うぎゃ~~、うぎゃ~~!」
「 何とかならないのかァ・・・。」
「 ふぎゃ~、ふぎゃ~!
もぎゃ~~~~~~~!
出してくれェ~~~!!」
「 扉が開くのは、あと、1年と364日か・・・・。
だから、閉所恐怖症はダメだって言ったのに・・・。
う~ん、仕方が無い、メンタルヘルスクリニックに電話をしてみよう。」
“ ピポ、ピポ、ピポ、ピポ、・・・・・。
プルルルルルル・・・・・、ガチャ!”
メンタルヘルスクリニック
お電話ありがとうございます、こちらはメンタルヘルスクリニックです。
該当する症状ごとの指示に従ってください。
物忘れが激しい方は0番を押してください。
強迫神経症の方は1番を何度も何度も押してください。
依存症の方は誰かに2番を押してもらうよう頼んでください。
多重人格の方は3番と4番と5番を交代で押してください。
物忘れが激しい方は0番を押してください。
精神分裂症の方は何番を押すかささやく声が聞こえたら、それを押してください。
過食症の方はピザ3枚の配達依頼をしてください。
鬱症状の方は何番でも押してください、返事をする人はいません。
物忘れが激しい方は0番を押してください。
罪の意識で苦しんでいる方は、電話をかけてくるべきじゃなかったんです。
痴呆症の方は7番を押してください、私はあなたのお母さんですよ。
自己嫌悪が激しい方は電話を切ってください、誰もあなたなんかと話しません。
物忘れが激しい方は0番を押してください。
中毒症状の方は*を押してこのメッセージを最初から聞いてください。
コンピュータ診断装置
ある男が友人に、“ひじが痛むから、医者に行かなきゃ”とこぼしていた。
友人は男にアドバイスした。
「 そんな必要ないよ。
あの薬局の中にコンピュータの診断装置があって、何でも診断してくれて治療法も教えてくれるんだ。
そりゃぁ~、医者よりずっと安いし速いんだ。」
「 そいつぁ、どうやったら動くんだい?」
「 機械に小便を入れて10ドル入れればすぐに診断してくれて、どうすればいいか教えてくれるんだ。
たった10ドルだぜ。」
試してみる価値はあるかなと思った彼は、小さなポットに小便を取り、例の薬局へ行ってみた。
コンピュータを見つけた彼は、小便を入れて10ドルを投入した。
コンピュータは何やらピーピー言い出して、ランプも点滅し出した。
そして、しばらくすると、紙切れが飛び出してきた。
その紙切れには、こう書いてあった。
『 あなたは、テニスをしてひじを痛めています。
毎日、ひじをお湯につけなさい。
ひじに負担をかける作業をしてはいけません。
2週間でよくなる確率は90%です。』
その夜、面白い技術ができたものだとか、この診断装置は医学にどんな影響を及ぼすのだろうか、などと思っている最中、この診断装置をからかってみたらどうなるんだろうと思いついた。
彼は水道の水と、飼ってる犬の大便と、妻と娘のオシッコをミックスし、挙げ句の果てに、自分でマスターベーションして出したモノも加えてしまった。
そして薬局へ行き、混合物と10ドルを入れた。
機械から、また前と同じように紙切れが出てきた。
そこにはこう書いてあった。
『 水道の水は硬水です。軟水化装置を購入してください。
飼っている犬には寄生虫がわいています。適切な治療が望まれます。
娘はドラッグをやっています。更正施設に入れなさい。
奥さんは妊娠しています。でも、あなたの子どもではありません。
それからあなたですが、マスターベーションをやめなければひじは完治しません。』
お兄ちゃん
妹「お兄ちゃんって落ち込んだ時どうする?」
俺「んー、そういう時にはバイクに乗るかな。」
妹「ふーん・・。」
俺「どうした?何かあったか?」
俺「ううん、ちょっとね。」
俺「何だよ水くさいな、言ってみろよ。」
俺「う、うんとさ・・。・」
俺「おう。」
俺「お兄ちゃん、この間一緒に歩いてた人、彼女?」
俺「・・・は?」
俺「前学校の近くで話してたじゃん。」
俺「ああ・・・あいつか。なわけないだろ、ただのクラスメートだよ。」
俺「ほんと?」
俺「嘘言ってどうすんだよ。」
俺「そっか。」
俺「てかそんな話はいいんだよ。落ち込んでたんじゃなかったのか?」
俺「ううん、それならいいんだ!えへへ。」
俺「おかしな奴だな。」
俺「ふふ♪お兄ちゃんに彼女なんてできるわけないよね、よく考えたら。」
俺「こらこら、失礼だぞ。」
俺「お兄ちゃんクリスマスイブなのに一人なの?」
俺「うるせーよ、俺は一人が好きなの。女なんてうざったいだけだよ。」
俺「ふ~ん、それじゃ私が彼女になってあげるって言ったら?」
俺「ちょ、ふざけんじゃないよ誰がお前なんか。」
俺「えー、一緒に渋谷とか歩いてあげちゃうよ~。」
俺「ま、マジで?」
俺「何本気にしちゃってるのお兄ちゃん、はずかしー。」
俺「誰がお前なんかと!!!」
医「薬2週間分出しときますね、年明けにまた来てください。」
母「ありがとうございました。」
俺「ありがとうございました。」
精神科医
伯父さんは地元の病院で精神科医・・・というより、
『薬とかの治療で治せない患者さんの話し相手になって、症状を精神的な面から改善させる』みたいな仕事をしてた。
カウンセラーって言葉を使えばわかりやすいかな。
親父とは二人っきりの兄弟ってこともあったんだろうけど仲が良くて、よくうちに遊びに来ては、まだ小学校1,2年くらいだった俺と遊んでくれたり、やっぱお医者様だから羽振り良かったのか、お小遣いくれたりして本当大好きな伯父さんだった。
で、その伯父さんに最後に会った時のこと。
今から4年前の冬休み。
その年の4月から地元を出て札幌の高校に行っていた俺は、母さんから「××さん(伯父さん)も来るから、お正月くらい帰ってきなよ」って言われてて、どーせ大掃除手伝わされるんだろマンドクセとか思いながらも、母さんの栗きんとんと伯父(およびお年玉)目当てに、久しぶりに帰省してきた。
伯父さんはいつものように客間に泊まってたんだけど、挨拶しに行ってまずびっくりした。
俺の記憶の中の伯父さんは、やせ気味の貧乏神ライクな親父と対照的に、100キロくらいありそうな縦も横もでっかい人だったんだが、それが親父以上にガリガリになってた。
髪もぼっさぼさで、ものごっつアウトローな感じに。
まあ、その時は「どーしたの伯父さん。めっちゃかっこよくなってんじゃん」とか言って笑ってたけど。
その夜、飯食ったあとに、なんか解らんけど親父が風呂行って、母さんが台所に引っ込んでーって、居間で俺と伯父さんだけになった。
最初は昔話とか『おまえ札幌でちゃんとやってるか』的なこと聞かれたりとか、ふつーに話してたんだけど、ふと伯父さん真顔になって、
「 今、子供の声聞こえたか?」
って。
伯父さんは酒ダメだったし、別にふざけてるとか俺を脅かそうってわけでもないっぽい雰囲気だったので、ちょっと怖くなりながらも(当然ながら我が家で最年少は俺)、
「 聞こえんかったよ。」
「 そうか、やっぱりな・・・。」
って哀しそうな顔でこんな風に言うんだよ。
「 伯父さんさ、最近聞こえるんだよ。
どこにいても、子供の声がいろいろ命令して来るんだよ。」
伯父さんの仕事は前述の通りなんだけど、その病院ってのが医療施設というより、もはや『本気で重症な奴の隔離場』みたいなとこで、建ってるのは山の中だし、窓には全部鉄格子がはめてあるようなとこなんだよ。
いつか患者が逃げたってニュースやってたから、それでテレビに出たのを見た人もいるかも。
それで、そのカウンセラーの仕事自体も紙一重なところがあって、電波が移るっていうの?、あんまし真面目な人だと、電波さんの話をちゃんと聞きすぎて、影響受けて自分もいろいろ支障をきたしちゃったり、ってこともよくあるらしい。
伯父さんの話だと、同僚の女の人が一人「音波が脳に刺さるのが見えてきた」とか言って、自分ちで首吊っちゃったってことが、その頃あったんだって。
他にもいろいろ話してくれたけど、『音波が脳に刺さる』ってフレーズだけやたら印象に残ってる。
「俺もそろそろかなぁ」って伯父さん、空元気ってのとも違う感じで、妙に楽しそうに笑ってたよ。
で、伯父さんおもむろにテーブルに置いてあったみかん掴んだ。
「 見えるか?」
「 何が?」
「 くっつき虫だよ。
ほら、またにゅるにゅる出てきてるだろ。
白いのにゅるにゅるうごめいてるだろ・・・。
何食べようとしてもこいつら出てくんだよ。
食ったら身体乗っ取られちゃうよ。」
伯父さんがここまで痩せた理由もそれだったという。
ろくに飯も食えてないっつってた。
近頃は寝るのもつらいとも言ってた。
寝てる伯父さんを、天井から誰かが見てるんだって。
最後に「ごめんな」って言って、伯父さんは居間を出て行った。
でも、そういえばその時はまだ、俺は伯父さんが怖い話をして脅かしてやろうとしたんだと思っていた。
次の日、家族の誰も起きる前に伯父さんは帰ったらしい。
布団も片づけてなくて、本当に着の身着のまま、まるで何かから逃げるように。
母さんの話では、その後は電話とかしても全然つながらなくなっちゃったらしい。
その一ヶ月くらい後に、伯父さんは事故で亡くなった。
中央分離帯に突っ込んだらしいんだけど、葬式の時、親戚からこんな話を聞いた。
伯父さんは自殺だったんじゃないかって。
見てた人が証言したらしいんだけど、伯父さんの車、地面が凍ってたわけでもない道路で今までまっすぐ走ってたのを、急に自分から分離帯に突っ込んだそうだ。
よく解らないんだけど、そーいうのを勉強してる専門家なら、自分がそろそろやばいってこととかもわかるもんなのかね。
なら伯父さん、自分がイッちゃう前に、最後に親父やお袋や俺に会いに来てくれて、それで廃人になる前に自分で命を絶ったのかなー・・・なんて。
ま、それで終わってればの話なんだけど、親父が葬式の後、帰りの車でぽつりと、
「 そういや、アレは事故の前の日だったんだな。
夜中に留守電入ってて、それが兄貴だったんだよ。
なんか気持ち悪くて消しちゃったんだけど、あの病院って子供もいるのかな。」
親父の話だと、伯父さんのメッセージは酔ったような声でたった一言、
『 俺、命令されちゃったよ。』
それで、その声に隠れるように、子供っぽい声が何人も『死ね』『死ね』っつってたらしい。
そんな兄が死んだのネタに怖い話するような局面でもないし、本当のことなんだろうけど・・・。
親父は今も元気なので、別に電波受信したりはしてないようですが。
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