日々の恐怖 2月26日 紙とサインペン(1)
2年前の夏、友人5人(全員♂)で海の近くの民宿に出掛けた。
夕方まで海水浴をして、全員が腹ペコになっていた。
民宿の主人が漁師もやっており、食事が美味しいことが評判であったので、夕食で振舞われるであろう海の幸に期待しながら、鬱蒼と木々に蓋われた人一人がやっと通れる細い道を通って帰った。
途中、いわくあり気な小さい古びた御堂などあったせいか、
「 幽霊か妖怪でも出そうな雰囲気だな・・・・。」
とAが冗談めかして言った。
風呂に入って汗を流し、期待通りの豪華な夕食に5人全員が満足すると、もう何もすることが無く、暇を持て余していた時、誰からともなく怪談話を始めた。
5人が知っている怪談を話し、何巡かして話も尽きた頃、Aが、
「 肝試しをしよう。」
と言い出した。
民宿のおばさんから紙とペンを借り、一人ずつ例の御堂に出掛け、紙にサインして帰って来ることになった。
最初に言い出しっぺのAが紙とサインペンを持って出掛けた。
15分位してAが、
「 オバケが出た~!」
と明らかに冗談と判ると口調で叫びながら帰って来た。
続いてB、C、Dと順番に出掛け、いよいよ私の番になった。
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