日々の恐怖 2月28日 紙とサインペン(2)
私は幽霊否定派ではあるが、このような雰囲気は好きではない。
それどころか出来れば避けたいと思っている。
しかし、私を怖がらせる目的で、
「 御堂の陰に人影が見えたよな。」
等と会話をしながらニヤニヤしている他の4人の手前、平気な振りをして出掛けた。
月も雲に隠れ、周囲は完全な闇に包まれていた。
私の持っている懐中電灯だけが唯一の光だった。
なんとか無事に御堂に辿り着き、扉の前に置いてあった紙とサインペンを回収して帰り道についた。
民宿の前で待っていた4人と、
「 結局、何も出なかったね。」
と言いながら部屋に戻った。
明日も朝から海水浴の予定なので、そろそろ寝ようかとした時、Aが、
「 オイ、お前、いつから改名したんだよ?!」
と私に向って言った。
最初、Aの言っていることの意味が解らなかったのだが、Aから1枚の紙を見せられて愕然とした。
その紙は、私が回収してきた紙だったのだが、私達4人の名前(私は最後だったのでサインはしていない)の他に、
『○○○○』
と見知らぬ名前が書かれていた。
しかも毛筆の字。
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