日々の恐怖 12月12日 地蔵神社(4)
それはともかく、2人でご神体になりそうなものを探したが、そんなのが落ちてるわけはない。
林の中をうろうろしてたら、林から田んぼに出るあたりの場所に、小さなお地蔵様があるのを見つけた。
頭巾もよだれかけも雨ざらしでボロボロになり、長い年月で顔の造作もわからなくなった地蔵様だ。
それを見てMが、
「 これにしようぜ!」
って言い、俺もすぐ賛成した。
そのときは、地蔵様を動かすのが悪いとか思わなかった。
でも、それからが大変だった。
小さいとはいえ、石の地蔵様なんだから、かなりの重みがある。
俺とMで頭と足のほうを抱えて、ふうふういいながら俺らの作った神社まで運んだ。
中に立てたら、すごく様になってる気がした。
で、さっそく俺が拝もうとしたら、Mは、
「 お供えがなくちゃいかんだろ!」
って言った。
俺が、
「 んじゃ、パンかなんか買ってくるか?」
と答えると、
「 いや、そんなんじゃ喜んでくれん、お供えも作ろう。」
神社の境内の方に戻った。
手水場で柄杓に水をくみ、それを持って社殿の下に潜り込み、砂と土を水でこねて団子をつくり出した。
さっそく俺も真似をした。
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