日々の恐怖 12月15日 地蔵神社(5)
砂なんですぐに崩れてしまって不格好なものになったが、2人で5、6個の泥団子ができるとMは、
「 仕上げだ。」
と言って、
その中に、掘り出したアリジゴクを埋め込んだ。
それを抱えて社殿の裏に戻り、俺らの神社の、鳥居と地蔵様の中間あたりに積み上げた。
そして手をパンパンと叩いてお祈りをした。
何を願ったかとかもう覚えてないが、おおかたテストの点を上げてくれとかそんなことだった。
それが終わると、俺もMも、ひと仕事終えたような充実感があった。
次にMは、
「 これなあ、できれば鈴つけたいよな。」
って言い出し、
「 小さいのなら家にあったと思う。」
と俺が答えて、翌日もそこに来ることにした。
その日はもう2時間くらい別のところで遊んで、Mとはわかれた。
それで、次の日、またMとしめし合わせてその神社に行った。
前の日に作った団子を見たら、積み上げたのが崩れて、団子の一つ一つに小指を突っ込んだような穴が開いていた。
「 これ、地蔵様がほじり出して中身を食ったんかな?」
Mはそう言ったが、俺はアリジゴクが自力で逃げ出したんじゃないかと思っていた。
持って来た小さな鈴と簡単なヒモをくっつけたら、ますます神社らしくなった。
それで拝もうかとなって、二人でヒモを引いてリンリンと鳴らして拝んでいたとき、小さく、
” たりない・・・。”
って呟くような声が聞こえた気がした。
「 えっ・・・・?」
と思ってまわりを見ると、Mが、
「 今、何か言ったか・・?」
って、俺に聞いてきた。
「 いや、なんも・・・。」
「 たりないって聞こえたと思ったけど・・・・。」
「 う~ん・・・・・?」
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