日々の恐怖 10月7日 不動産屋(4)
Kさんの住むアパートまでは俺の自宅から自転車で十分位の所にあり、急いで現場に向かった。
アパートの隣接する道路まで来て遠目に部屋を見ると、アパートの電灯の中に人影が見える。
自転車を降り、静かに歩いてアパートの入り口まで来ると、そこには黒い薄手のジャンパーに青色のジーパン姿の男が、
Kさんの部屋の前で何か怒鳴っているのが見えた。
警察はまだ来ていなく、どうしようか迷って立ち尽くしていると、男が不意にこちらに顔を向けた。
男は人がいる事に気づいて驚いたが直ぐに顔を隠すように俯き、こちらに向かってくる。
そして入り口で立ち止まっている俺の脇をすり抜けるように男は立ち去ろうとしていたので、
逃げられると思い咄嗟に男の腕をつかんだ。
男は俺の手を振り払い逃げ出そうとしたので、今度は男の腰にしがみついた。
その拍子に男は前のめりになり、地面に俺と共に倒れこんだ。
男はすぐに立ち上がったのだが、そのさいに片方のスニーカーが脱げた。
しかし、そのまま逃走。
俺も残ったスニーカーを掴み、後を追いかけたが途中で見失ったので追うのをあきらめ、一旦アパートに戻った。
戻ると警察官が来ていてKさんと話していた。
俺が事の次第を警察官に話していたが、その途中で男が他の警察官に捕まったと連絡が入った。
その後、警察に行き事情聴取をされた男は素直に犯行を認めた。
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