日々の恐怖 1月28日 病院関連話(18) バーコード
別に禿頭の患者さんの話ではありません。
ある入院患者さん、スケッチブックに何かを描いている。
別に全然問題ないし、むしろ健全な趣味だなと思ってたんだけれど、ただ向かいのベッドを見ながら描いている。
” 空のベッド描いて面白いか・・・・・?”
ちらっと見ると、びっくりした。
全然絵じゃない。
縦の線をひたすら並べているだけだ。
太い線、細い線、まるでバーコードみたいだ。
「 少し待ってください。」
と言うので待っていると、ページをちぎって、
「 あげます。」
” なんですか、これ・・・?”
と聞きたかったんだけれど、もう既に別のベッドのスケッチを始めている。
凄く気になったので、
” まさかね・・・・。”
とは思いつつ、下のコンビニに行って、
「 これ、ちょっとスキャンしてくれませんか?」
「 何ですか、これ・・・??」
しかし、
” ピッ!”
反応した。
「 何これ・・・?」
すごく気味悪そうにしている。
プリントしてもらって見たら、
" 平成〇〇年2月14日 山本〇〇 ¥0"
鳥肌が立った。
知っていた患者さんだったから。
「 今スケッチしているベッドは患者さんいるんだけど・・・・。」
泣きそうな顔で彼女は言う。
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