日々の恐怖 5月13日 白狐(13)
「 破!とか出来るんすか?」
「 そんな便利なこと出来たら、この神社大儲けしてるよ。」
「 形だけでも御祈祷とかすればいいじゃないですか。」
「 めんどくせぇよ~。」
来年もきっとこの神社は寂れたままなんだろうと思った。
次の年の夏だった。
実家でぐだぐだしていたら、急にぴーちゃんが肩に乗り私の髪を毛づくろいし出した。
珍しいこともあるもんだと思った次の瞬間、はっとした。
” もういないんだ。
だから、ぴーちゃんが寄ってきたんだ。”
こんなあっさりしてるものなんだと思った。
それ以外のことは、特に何も思わなかった。
ぴーちゃんが寄ってきたこと以外、特に何も変わりはなかったから。
その年のツアーでも、小豆さんの県に行った。
1年振りに会った私の顔を見て、
「 そうかぁ、そうかぁ・・・・。」
と呟いて、また缶コーヒーをくれた。
いるともいないとも、小豆さんは明言しなかった。
なので社に戻ったのだと確信出来た。
お互いそのことに付いては一切触れなかった。
小豆さんのジャージはこの年もエメラルドグリーンだった。
見つかった人間はどうなるのだろうという話をした。
知る術もないけれど、出来れば酷い目に遭っているといいなと思う。
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