日々の恐怖 6月6日 襖
祖父母の家では、”襖を間違っても逆に閉めるな”という厳しい戒律がある。
というのも、左右逆に閉めた時だけ、その隙間からぼんやりとした人型の白い影が出てくるから。
私は見た事ないけど、子供の頃に面白がって祖父母宅の近所の友人に話したら、友人がやってしまい泡吹いて倒れた。
祖母は見えないけど、祖父や娘である私の母、おば達は見える。
おばの一人が商売人だからか、やたら縁起を担ぐ人で、お祓いを試した事があった。
神主、お寺さん、仙人のような修験者、皆ダメだった。
皆、
「 何かもわからない。」
「 祓う事も出来ない。」
と言ったらしい。
修験者が帰った後、たまたま襖が互い違いのままで、またぼんやり影が出ていた。
その影が頭を何回も下げているのを見て、おばはお祓いをやめたらしい。
で、今もそのまま。
私が結婚した時は旦那にその旨伝えた。
娘がもう少し大きくなったら、いずれ伝えるつもり。
これって、家の守り神みたいなもんなのかな?
家族に害はないんです。
不気味だけどまあ放っておくけど。
お供え物を毎日あげなきゃ祟る、なんて面倒なことも要求しなさそうだし。
ただ出て来るだけ。
襖を張り替えた時は影が濃くなるみたい。
嬉しいんだろうか?
狐につままれたような話なんだけど、一体なんなんだろう。
ちなみに母方は男が育たない女系家族なんだけど、これは関係ないんだろうな。
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