日々の恐怖 6月17日 誘引のお話(1)
高校のとき仲の良い友人が、
「 週末、家に泊まらない?」
って誘ってきた。
「 親もいなしさ、酒でも飲も~ぜ。」
って。
特に用事もなかったけど、俺は断った。
でも、しつこく誘ってくる。
「 他をあたれよ。」
そう言っても、なぜか俺だけを誘ってきた。
あまりにもしつこいので、
「 なぁ、お前一人じゃ怖いのか?」
と、からかってみたら、急に黙り込んだ。
「 なんだ、図星か?」
って追い討ちをかけてみると、突然真面目な顔になって、
「 なぁ、お前、幽霊って信じるか?」
なんて言ってきた。
“ なんだ、こいつ・・・。”
と思いながら、
「 まぁ、見たことは無いけど、いないとも言い切れないかな。」
って答えた。
「 じゃぁさ、週末に家に来いよ。
幽霊はいるって解るよ。」
なんて言いやがる。
「 ふ~ん・・・・で、見に来いっての?
でも、止めとくよ。」
そう言うと、泣きそうな顔で、
「 頼むよ、来てくれよ。」
って言う。
「 じゃぁ、具体的に、どんな幽霊なんだ?」
と聞いてみると、
「 毎晩12時くらいに階段を1段ずつ昇ってきてる。
そして週末にちょうど家の前に来るはずだ。
その時、一人なのが怖いんだ。」
って、本当に怖がりながら言う。
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