日々の恐怖 4月19日 ワイの話(5)
祖父母の家に向かう途中の道で、必ず妹が泣き出す場所がある。
そこは見通しが悪いカーブで、地元でも事故が多発する場所として有名だった。
そのカーブに近づくと、妹は怖い怖いと毎回、泣き出す。
妹がまだ赤ちゃんだった時から、ここの道に近づくとぐずりだして大変だった、とマッマは言っていた。
毎回、この道を通る度に泣き出してうるさかったので、正直、ワイは鬱陶しく思っていた。
ある日、あまりにも車内で泣き叫ぶ妹に、ブチギレたワイは泣く理由を問い詰めた。
しかし、妹は泣き叫ぶばかりで理由を言わない。
「 言えよ!泣き止め!」
と何度もワイは妹を叩く。
ガッキのワイ、カスだった。
「 言わないと怒るぞ!」
と、既にブチギレながら怒るワイに妹は、
「 言ってもいいの・・・?」
と何度も泣きながら、逆にワイに聞いてきた。
「 言えや~!」
と、なかなか話し出さない妹の頭を叩いていると、遂に妹は限界を迎えたのか泣きながら叫び出した。
「 くろいひかりのたまが!
くろいひかりのたまが、いっぱいあるのぉ~~~~!」
その日から、魔のカーブに近づくと泣き出す妹+その妹を見て恐怖するワイで、車内が動物園状態になり、暫くしてマッマは祖父母の家に行く道を変えてくれた。
その後、ワイが小学校の高学年くらいの時に授業で、昔、この辺りに防空壕があった事を知る。
そこは丁度、魔のカーブがある場所だった。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ