日々の恐怖 6月30日 お守り(9)
3人は道々ご当地グルメやら景色を堪能しつつ、順調に我が家へたどり着き、ひとしきり観光名所を回って(私も連れ回されて)、喜色満面で帰路についたのです。
私は、
” あ~、何もなくてよかったァ~。”
と思いながら、母たちの乗ったメタリックブルーのハイブリッド車が交差点を曲がるまで見送って玄関のドアをしめました。
その後は遊びに行っていた分の家事に勤しみ、テレビをみたり動画をみたりして、母たちから、
” 無事に自宅へ着きました。”
という連絡が来るのをつらつらと待っていました。
けれど結局、その日、母たちから連絡が来ることはありませんでした。
次の日になって、弟の携帯から連絡がありました。
はっきり言って嫌な予感がしたのを今でも覚えています。
私はおっかなびっくり、電話口に立ちました。
「 もしもし、S(弟)?」
「 うん、姉さん。
え~と、昨日ぶり。」
「 うん。
昨日はアレからどうしたん?
連絡なかったけど・・・・。」
「 ん・・・・、なんていうか。
凄かった。」
「 すご・・・?
はあ・・・??」
「 姉さん、あのさ。
多分あんまり言わない方がいいけど・・・・。
母さん、相性悪いよ、そっちと。
分かってると思うけど、あの人、言って聞かないし・・・。
とにかく車はやめた方がいいよ。
僕はいつでも、一緒に行けるわけじゃないしさ。」
「 え、何・・・?
何かあったの?」
「 ん・・・、多分、母さんがそのうち話すよ。
でも、まだそっとしておいた方が良さそう。
僕もまだ怖い・・・。」
弟の話はチンプンカンプンで、要領を得たような得ないような。
それでもとにかく、3人は無事に身体は無傷で自宅に帰れたようでした。
ことの真相を知ったのは、それから年をまたいだ5月、GWが明けた次の週のことです。
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