日々の恐怖 1月18日 病院関連話(16) 採血
採血するのはたいてい看護師の仕事です。
ある患者さん、なかなか血管が見つからない。
右腕も左腕も。
仕方がないので、手のカバーを外して脈動を探しても見つからない。
それに異様に手が冷たい。
患者さんの方が恥ずかしそうに、
「 あの~、いつも首から取ってもらってるんです。」
見たところ、極端なガリでもデブでもない。
むしろアスリート体形。
首から採血なんて初めてなんで慎重に準備しながら、気紛らせに話しかけた。
「 あの~。
余計なお世話かもしれませんが・・・・。
腕、診てもらったほうがいいんじゃないですか?」
「 ああ、よく言われますし、自覚症状もあります。」
「 そうなんですか・・・・。」
「 なんていうか、血が届いていないんですね。」
びっくりして、
「 じゃあ、なんで動いてるんです?」
「 気力で。」
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