日々の恐怖 3月27日 村(4)
地図を広げてみたが、もはや何の役にも立ちそうになかった。
暗い。
雲が出ているのか、月の明かりすらない。
そして町の明かりも。
懐中電灯がなかったら、谷底へ転落してもおかしくない。
少し休もうと思い、腰を下ろした。
近くで川の流れる音が聞こえるが、入口にあった神社は見えない。
やはり間違ったルートを下った様だ。
しかし、どのみち今夜は野宿だ。
もう歩きたくない。
あとは明るくなってから考えよう。
万一クルマやバイクが通っても、轢かれる心配のない場所を探して野宿しよう。
そう考え、再び歩き出した。
しばらくすると急に道が開け、今まで見た事のない風景に出くわした。
そこにいきなり村が現れたのだ。
もちろん明かりの点いた家は全くない。
廃村だ。
どうやら途中で枝別れしたこの廃村へと続く道を歩いて来たらしい。
辺りを照らしてみると、木造の半壊した建物ばかりだ。
赤錆びた給水塔らしきものも見える。
かなり昔に放棄された村らしい。
不気味ではあったが、面白くもあり、少し見て周った。
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