日々の恐怖 4月6日 再会(1)
かなり前の話になる。
ある日、俺は中高時代に友人だった男と二年ぶりに再会した。
まず、そいつのことを紹介しないと話は始まらない。
少し長くなるが、興味のある人は聞いてくれ。
そいつと俺が通っていた高校は、まあ平凡な進学校というのか、
市内で五番目くらいのレベル、というと想像できるだろうか。
そんな高校の落ちこぼれグループに、俺とそいつはいた。
中途半端なヤンキーですらない、今思うと恥ずかしいツッパリみたいなものか。
くだらない事でいきがる、バカそのものだった。
で、そいつは三年になってからがらっと人が変わった。
何があったのか知らないが、受験勉強に専念し始めた。
学校にいる間は、休み時間もずっと勉強していた。
俺らとの付き合いを一切断ち、傍から見ると呆れるくらい一心不乱に勉強した。
成績も夏休み前くらいから急上昇し、ついに二学期は試験以外登校しなくなった。
そして、冬休み前の試験では、ついに学年トップになった。
教師も見てみぬ振りをした。
クラスからも完全に浮いて、机の上にはいつも花瓶がのっている有様だった。
俺は密かに奴に憧れていた。
ストイックを通り越して狂っているようにも見えたが、絶対に中途半端ではなかった。
そんなことができる人間に、俺は畏敬の念を持っていた。
やがて受験シーズンが到来した。
俺は市内の無名私立大に何とか滑り込み、あいつは有名国立大に合格した。
学校でもウン十年ぶりの快挙だった。
卒業してすぐ、みんな浮かれ騒ぎで夜の繁華街に繰り出す中、あいつは飲み会に一度も参加することなく、
誰の賞賛も受ける気はないらしかった。
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