なんじゃもんじゃ物語
なんじゃもんじゃ物語 1-1 (なんじゃ王国にて)
なんじゃもんじゃ物語 1
太平洋の南の南これまた南、3つの島がありました。
東から順番になんじゃ島、ほんじゃ島、もんじゃ島という名前が付けられていました。
どんな世界地図にも載っていません。
とっても、とっても小さい島だったのです。
この3つの島には、2つの王国がありました。
なんじゃ島には、なんじゃ王国、もんじゃ島には、もんじゃ王国がありました。
(なんじゃ王国)
なんじゃ王国のなんじゃ王123世が、大臣のホイに言いました。
「 おい、大臣、早くもんじゃ島を、我領地にしろ!
早くしないと、クビにするぞ。」
ホイ大臣は、オロオロして答えました。
「 はい、明日にでも・・・・・・。」
「 もう、明日にでも、明日にでもと言って、8年になるぞ。
お前が大臣になったのが、8年前だから、・・・・・・・。
お前、今まで何をやっとったんだ。
今度こそ、クビにするぞ!」
「 王様だって、8年前から、毎日、クビにする、クビにするって言って・・・。」
「 今度は、ホンマのホンマだぞ。
おい、大臣、聞いとるか。
分かったら、お城のてっぺんに登って、兵を集めろ!!。」
王様は、興奮してきました。
「 はい、今直ぐにでも。」
ホイ大臣は、兵隊を呼びに走りました。
なんじゃもんじゃ物語 2
ホイ大臣は、ゼイゼイ息を切らせてお城のてっぺんに登って叫びました。
「兵隊、集まれ~!!。」
大臣は今まで何回ももんじゃ島を我領地にしろ言われて、始めの頃こそ兵隊を呼びに走りましたが、7年前から言われても何もせず、ただ、王様に聞こえるように階段の所で、あたかも階段を駆け上がっているかのように足踏みをするのでありました。
だから、大臣就任当時の中肉中背の体は、もう既に老化現象をきたし、腹が太くなるかわりに、足が細くなっていきました。
「 はぁ~、疲れた、疲れた、しかし、兵隊は、来るかなぁ~。
何しろ、ここ3年程兵隊を見ていないからな。
最後に見たのが、確か、我が家の家宝である時計がつぶれた時だったかな。
王室の技術長官兼兵隊隊長にしてやると言って、ただで直させて以来だからな。
それ以前にいた兵隊はどうしたかな。
もう顔も覚えとらんぞ。」
総人口50人の島ですから、大臣は、老若男女、片っ端から全員兵隊にしたことを忘れていたのです。
どうも、頭のほうも老化現象をきたしているようです。
さて、その声を久しく聞いた国民兼兵隊は、反応しました。
「 なんじゃ、ありゃ~。
あれは、確か8年前にお城で大臣に任命された男じゃなかったか。
そのお祝いの時、パンをいっぱいポケットにつっ込んで、隠して帰ったのをおぼえているぞ。」
「 ああ、俺は、ぶどう酒のビンを隠して持って帰ったのを思い出したぞ。」
わいわいがやがやとお城の前に集まってきました。
「なんだ、こりゃ~。これでも兵隊か。」
ホイ大臣は、自分のことは棚に上げたまま、落胆で口を開けて放心状態に陥りました。
国民兼兵隊たちも、何で呼ばれたか分からず、お城の塔の上にいる大臣を見上げて、口を開けてぽかんとしていました。
なんじゃもんじゃ物語 3
そんな状態が数分続いた後、一羽の鳥が飛んでまいりました。
そして、あほーと一声鳴いて、ホイ大臣の開けた口に糞を落としていきました。
「 ぺっ、ぺっ、汚い。
むっ、あの鳥は、何だかスキのない身のこなしをしておるぞ。
わしの明晰な頭脳から判断すると、あれはきっと、もんじゃ国のスパイに違いない。」
ホイ大臣は、鳥を捕まえようとして、塔から身を乗り出しました。
腹が出ているから、体の重心が前のほうにあります。
バランスを崩して、塔から落ちかけました。
全国民は、ハッとしました。
でも、ホイ大臣は、かろうじて塔の端にぶら下がりました
思わず、国民から拍手が沸き起こりました。
そして、大臣は叫びました。
「 やっぱりあれは、スパイだ。
恐ろしい奴だ。
わしを落とそうとした。
うーん。
おい、みんな、あの鳥を捕まえろ。」
国民は、鳥のほうへ眼をやりました。
鳥は、もんじゃ島とは反対の方向に、あほーと鳴きながら飛んでいました。
「 あっぱれな、スパイだ。
スパイでないことを証明しようとして、もんじゃ国とは反対の方向へ飛んで行くではないか。」
今までのいきさつを見ていた国民は理解しました。
「 さすが大臣様じゃ。
みごとあの鳥が、スパイであることを見通しなさった。」
国民の拍手が沸き起こりました。
でも、大臣はぜんぜん笑えませんでした。
なぜなら、さっきから塔の端にぶら下がっているのです。
普通の人ならよじ登るところですが、何しろ太っているものだから、腹がつかえて一向によじ登れません。
足をバタバタさせていました。
なんじゃもんじゃ物語 4
ホイ大臣は、手がしびれて来て叫びました。
「引っ張り上げろ~。」
でも、国民の拍手にかき消されて、誰も助けに来てくれません。
とうとう我慢できなくなって、手を離してしまいました。
ヒュー、ガサッ。
幸い下に木があって、その木の枝に引っかかって助かりました。
「 さすが大臣様じゃ。
よじ登るなんて野暮なことはなさらない。
ちゃんと引っかかりなさった。」
全国民であり、兵隊でありなんじゃ島民である民衆は、いっせいに拍手をしました。
木に引っかかったままで大臣は、叫びました。
「おい、何をしとる。
戦だ、戦だ。
戦争だぞ~。
槍を持て~、弓を持て~。」
なんじゃ島民は、武器を取りに家に走っていきました。
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なんじゃもんじゃ物語 1-1 (なんじゃ王国にて)
なんじゃもんじゃ物語 1
太平洋の南の南これまた南、3つの島がありました。
東から順番になんじゃ島、ほんじゃ島、もんじゃ島という名前が付けられていました。
どんな世界地図にも載っていません。
とっても、とっても小さい島だったのです。
この3つの島には、2つの王国がありました。
なんじゃ島には、なんじゃ王国、もんじゃ島には、もんじゃ王国がありました。
(なんじゃ王国)
なんじゃ王国のなんじゃ王123世が、大臣のホイに言いました。
「 おい、大臣、早くもんじゃ島を、我領地にしろ!
早くしないと、クビにするぞ。」
ホイ大臣は、オロオロして答えました。
「 はい、明日にでも・・・・・・。」
「 もう、明日にでも、明日にでもと言って、8年になるぞ。
お前が大臣になったのが、8年前だから、・・・・・・・。
お前、今まで何をやっとったんだ。
今度こそ、クビにするぞ!」
「 王様だって、8年前から、毎日、クビにする、クビにするって言って・・・。」
「 今度は、ホンマのホンマだぞ。
おい、大臣、聞いとるか。
分かったら、お城のてっぺんに登って、兵を集めろ!!。」
王様は、興奮してきました。
「 はい、今直ぐにでも。」
ホイ大臣は、兵隊を呼びに走りました。
なんじゃもんじゃ物語 2
ホイ大臣は、ゼイゼイ息を切らせてお城のてっぺんに登って叫びました。
「兵隊、集まれ~!!。」
大臣は今まで何回ももんじゃ島を我領地にしろ言われて、始めの頃こそ兵隊を呼びに走りましたが、7年前から言われても何もせず、ただ、王様に聞こえるように階段の所で、あたかも階段を駆け上がっているかのように足踏みをするのでありました。
だから、大臣就任当時の中肉中背の体は、もう既に老化現象をきたし、腹が太くなるかわりに、足が細くなっていきました。
「 はぁ~、疲れた、疲れた、しかし、兵隊は、来るかなぁ~。
何しろ、ここ3年程兵隊を見ていないからな。
最後に見たのが、確か、我が家の家宝である時計がつぶれた時だったかな。
王室の技術長官兼兵隊隊長にしてやると言って、ただで直させて以来だからな。
それ以前にいた兵隊はどうしたかな。
もう顔も覚えとらんぞ。」
総人口50人の島ですから、大臣は、老若男女、片っ端から全員兵隊にしたことを忘れていたのです。
どうも、頭のほうも老化現象をきたしているようです。
さて、その声を久しく聞いた国民兼兵隊は、反応しました。
「 なんじゃ、ありゃ~。
あれは、確か8年前にお城で大臣に任命された男じゃなかったか。
そのお祝いの時、パンをいっぱいポケットにつっ込んで、隠して帰ったのをおぼえているぞ。」
「 ああ、俺は、ぶどう酒のビンを隠して持って帰ったのを思い出したぞ。」
わいわいがやがやとお城の前に集まってきました。
「なんだ、こりゃ~。これでも兵隊か。」
ホイ大臣は、自分のことは棚に上げたまま、落胆で口を開けて放心状態に陥りました。
国民兼兵隊たちも、何で呼ばれたか分からず、お城の塔の上にいる大臣を見上げて、口を開けてぽかんとしていました。
なんじゃもんじゃ物語 3
そんな状態が数分続いた後、一羽の鳥が飛んでまいりました。
そして、あほーと一声鳴いて、ホイ大臣の開けた口に糞を落としていきました。
「 ぺっ、ぺっ、汚い。
むっ、あの鳥は、何だかスキのない身のこなしをしておるぞ。
わしの明晰な頭脳から判断すると、あれはきっと、もんじゃ国のスパイに違いない。」
ホイ大臣は、鳥を捕まえようとして、塔から身を乗り出しました。
腹が出ているから、体の重心が前のほうにあります。
バランスを崩して、塔から落ちかけました。
全国民は、ハッとしました。
でも、ホイ大臣は、かろうじて塔の端にぶら下がりました
思わず、国民から拍手が沸き起こりました。
そして、大臣は叫びました。
「 やっぱりあれは、スパイだ。
恐ろしい奴だ。
わしを落とそうとした。
うーん。
おい、みんな、あの鳥を捕まえろ。」
国民は、鳥のほうへ眼をやりました。
鳥は、もんじゃ島とは反対の方向に、あほーと鳴きながら飛んでいました。
「 あっぱれな、スパイだ。
スパイでないことを証明しようとして、もんじゃ国とは反対の方向へ飛んで行くではないか。」
今までのいきさつを見ていた国民は理解しました。
「 さすが大臣様じゃ。
みごとあの鳥が、スパイであることを見通しなさった。」
国民の拍手が沸き起こりました。
でも、大臣はぜんぜん笑えませんでした。
なぜなら、さっきから塔の端にぶら下がっているのです。
普通の人ならよじ登るところですが、何しろ太っているものだから、腹がつかえて一向によじ登れません。
足をバタバタさせていました。
なんじゃもんじゃ物語 4
ホイ大臣は、手がしびれて来て叫びました。
「引っ張り上げろ~。」
でも、国民の拍手にかき消されて、誰も助けに来てくれません。
とうとう我慢できなくなって、手を離してしまいました。
ヒュー、ガサッ。
幸い下に木があって、その木の枝に引っかかって助かりました。
「 さすが大臣様じゃ。
よじ登るなんて野暮なことはなさらない。
ちゃんと引っかかりなさった。」
全国民であり、兵隊でありなんじゃ島民である民衆は、いっせいに拍手をしました。
木に引っかかったままで大臣は、叫びました。
「おい、何をしとる。
戦だ、戦だ。
戦争だぞ~。
槍を持て~、弓を持て~。」
なんじゃ島民は、武器を取りに家に走っていきました。
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