日々の恐怖 10月30日 壁(2)
翌月くらいかな、またそいつに会った。
今度は地下通路で壁と話してた。
それから頻繁にそいつを見るようになって、とうとう自分家の近所にまで現れた。
“ やばい、狙われてる・・・・?”
と膝ガクガクだった。
たまたま友人と歩いてたときに、そいつがいたから、
「 またいるよ、あいつ。」
と言ったところ、友人が、
「 誰・・・?」
と言った。
「 そこで壁と話してるやつだよ。」
と言っても、
「 誰もいないじゃないか。」
と言われた。
そこで初めて、
“ あいつ、この世のモノじゃねえぞ・・・・!”
と気づいた。
“ そういえば会社のエレベーターで見たときも、残業で夜中の1時過ぎてたしなァ・・・。”
と、なんだか納得した。
逆に、
“ 幽霊なら刺されることもないだろう。”
と、妙に安心した。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ