日々の恐怖 10月28日 壁(1)
この前、会社のエレベーター乗ろうとしたら、男がいた、後ろ向きで。
エレベーターに人がいても驚かないけど、後ろ向きで乗ってる人ははじめて見たからちょっと驚いた。
一瞬戸惑って乗ろうか迷ったんだけど、
“ 掲示物見てるとかだったら、失礼だし・・・。”
みたいなつまらない気をつかって乗った。
なんかブツブツ言ってるから、
“ 背中向けたくねえ・・。”
と思って壁を背にして横にポジションキープした。
となりちらっと見たら、直立姿勢のまま壁まで10cmくらいまで顔近づけてて憤怒の形相だった。
鬼のような顔ってのは、あのことだ。
“ 南無三!”
と唱えて早く一階に着くことを祈った。
8階だから下まで結構時間がかかる。
「 だーかーらー、貴様が言うか!ボケェ!」
「 お、お、お俺のせいか!?あ!?」
ブツブツっていうか、もう怒鳴ってる。
“ まだ6階かよ・・・・。”
と一階一階嫌な汗かきながら数えていた。
それで、ようやく1階についてそそくさと逃げたんだが、離れてからエレベーター見ると男は降りては来ない様子だった。
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