日々の恐怖 3月23日 村(2)
峠のワインディングは景色も素晴らしく満足いくものだった。
“ やはり非日常を味わうには旅が一番!”
などと思いながら、峠を下り切った所で一服した。
川が涼しげに道の向こうを流れている。
その川に小さな橋が架かっていた。
先には小ぢんまりとした神社がある。
そして神社の脇に、向かいの山へと続く砂利道が見えた。
まだ日はある。
オフ乗りには美味しいフラットなダート林道だ、入らない手はない。
民家もないし他のライダーとも全く出会わない。
“ 少々ぶん回しても迷惑にはならないだろう・・・。”
俺はゴーグルを下げ、2ストサウンド全開で走り出した。
先の読み易いコーナーを足を出してカウンター当てながら曲がる。
楽しい。
万一転倒してもガードレールはないが、アウト側の木々がその役目を果たすだろう。
だが夢中で走っていたら、いつの間にかオーバーペースになっていたようだ。
高速コーナーでリアをスライドさせ過ぎマシンが真横を向く。
本能的にバンクを戻し立て直そうとするも、スピードが乗り過ぎていた。
次の瞬間、ブロックタイヤが路面を噛み込む。
” しまった!?”
と思う前にマシンは強制的に引き起こされ、俺は空中に放り出された。
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