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日々の恐怖 10月21日 私の話(9)

2020-10-21 10:04:28 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 10月21日 私の話(9)




 朝、副住職が、

「 もうすぐ朝のお勤めがあるから。」

と起こしに来た。
起こされた俺は部屋を見回すと、電気は消えていて、部屋の隅にテレビがあるという寝る前の光景そのままだった。
 昨日の事を思い出し、副住職に話をすると、

「 俺も前にこの部屋に泊ったことがあるけど、そんなことなかったぞ。」

と普通に返された。

” あれ、ひょっとして昨日のは夢?
でも体に昨日の感覚が残っているし・・・。”

と思っていると、僧侶が、

「 そういえば、昨日の真夜中何を騒いでいたの?」

と聞いてきた。
俺は何のことかわからず、

「 昨日の夜中は、部屋で静かにしていたけど。」

と答えると、

「 夜中三時ごろだと思うんだけど、廊下を走るものすごい足音が聞こえたから、何の音か部屋から出たら、ちょうどお前の部屋に若い人が入って行く姿を見たんだよ。」

と言われ、

「 何言ってんだよ?
そんな夜中に足音立てて人が走るわけないだろ。
寝ている住職が起きたらどうするんだよ。」
「 でも、確かに見たんだよ。
お前の寝ている部屋の入口を開けて入って行く、白い衣(法要で使う衣)に袈裟を着た若い人を・・・。」
「 お前なぁ、若い人って今ここにいる二人以外にはいないはずだぞ。」

俺はこの部屋が使われない理由がわかった気がした。








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