日々の恐怖 2月7日 駐車場(2)
そっちに目をやると、これまたボロっちい放置自転車があった。
前輪部分は自販機の雑草と一体化していて、ペダル辺りにもツタの様な雑草が絡み付いていて、溝でもあるのか微妙に前のめりになって後輪部分が浮いている。
暗かったんだけど、状況は自販の明かりのおかげでよく見えた。
ここで、やっと音の正体がこの自転車の後輪が回ってるからだと気づいた。
特に風が吹いているわけでもないし、誰かが漕いでるわけでもない。
そもそも雑草が絡まってるから漕げる訳がない。
なのにずっと回り続けている。
おかしいはずなのに、その時は回ってる不思議より音の正体を掴めた充実感が優っていたのと、温めて貰った弁当が冷める事の方が嫌だったので、
“ さっさと帰ろう。”
と思い駐車場を出ようとした時、微妙な違和感があった。
“ ここ砂利だったっけ?”
その駐車場は、自宅のアパートとコンビニ行くルートの一つにある住宅路に面した、横に長いどっかのアパートの離れの駐車場だ。
よく通る道の横にあったんで何度も目にしてるが、セメントで整備されてたはずなんだけど、その時は少量の砂利と土だけの駐車場だった。
まぁ、
“ よくある記憶違いかな・・・・。”
って思って、そのままその日は帰宅した。
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