日々の恐怖 2月10日 駐車場(3)
それから2ヶ月ちょっと経った後、自宅で友人達と飲んでいた時、買い出しに行った一人が戻って来てから変な事を言い始めた。
「 自販機の前にマネキンの様な物が立っている・・・。」
それを聞いた直後は、同じアパートに美容師系の学生でもいるのか、ゴミ置場にマネキンの頭部が大量に置いてあった事が何度かあったので、その悪戯だろうなと思った。
( その地区は夜中にゴミ収集があるので0時までにゴミを出すのだが、たまに置いてあって結構ビビる。置き方的にも多分確信犯。)
でも少し話を聞いていると、ゴミ置場近くの自販機では無く、悪戯するには少し遠い例の駐車場の自販機の事だった。
そいつは、
「 コンビニに向かう途中、駐車場の自販機と向かい合う形で人形のような物が立っていて、コンビニから戻る時も変わらず立っていたから遠目に覗いたら、白くて太いマネキンの様な物で微動だにしなかった。」
と言った。
その話を聞きながら奇妙だなと思った。
忘れていたわけでもないのに、この2ヶ月間同じ場所を何度も通っているのにも関わらず、なぜかあの日の出来事を全く気に止めてなかったし、記憶を辿ってみてもあの時の光景と一致する場所では無い筈だ。
加えてこの話は誰にもしていなかったので、買い出しに行ったヤツは知らない。
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