日々の恐怖 9月9日 霧が出る(1)
5年くらい前かな、夜中の3時くらいに東北の山道車で走ってたら、ものすごい霧が出てきた。
前のトラックのテールランプがかろうじて見えるって状態だったのに、トラックはかなりスピード出してるのかあっと言う間に見えなくなった。
後ろには黒い車がついて来てたんだけど、一本道を40キロくらいで走ってるのに、ちょっと目を放した隙にいなくなってしまった。
前後に誰もいないし対向車も来ないから、眠気覚ましに知人とイヤホンとマイク付けて通話しながら30キロくらいでゆっくり走ってた。
その道には、それほど長くないトンネルが二つあるんだけど、トンネルが近づくにつれて通話が途切れ途切れになり、最後には切れてしまった。
“ おかしいなぁ・・・。”
とは思ったけど、くねくね道で停車するのも危なそうなので、かけ直すのはあきらめた。
いつものように二つのトンネルを潜り抜けると、またトンネルがあった。
“ あれ・・・・?”
と思いながらそのまま潜り抜けると、また別のトンネルがある。
5つ目のトンネルに入ると、異様に長い直線で、トンネルの出口が見えない。
10分くらい走っても見えない。
ここまで来て、
“ ああ、これはなんかちょっと変だな・・・・。”
って思ってUターンした。
“ 出れなくなってたらやだな~。”
とか思いつつ、誰もいないのをいいことに大声で歌っていたら普通に出れた。
出たら霧が全く無い。
車停めて降りてみたら、ひとつ目のトンネルの前だった。
携帯で時間を確認したら4時15分過ぎ。
何がなんだかわからなかったけど、
“ まぁいいか・・・・。”
と思ってまた車をUターンさせて走ったら、今度はふたつで終わりのいつものトンネルだった。
その後何度か通ったけど、トンネルが増えたのはあれ一回きりだった。
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