日々の恐怖 6月8日 ワイの話(23)
周囲を見渡して妹は戸惑う。
「 えっ!?あれ!?お兄ちゃん!?」
寝ぼけているのかと思ったが、妹はワイをじっと見ると急に泣き出してしまった。
「 お姉ちゃんがいない・・・・!」
昨日と立場が真逆に変わり、今度はワイが泣きじゃくる妹の頭を撫でた。
妹の話をまとめると、大体こんな感じだ。
妹は夢で、“姉”に、
「 お兄ちゃんを助けてあげて!」
と呼ばれて昨日、訪ねてきたらしい。
駅に着いた時くらいまでの記憶はあるようだが、その後の記憶はぽっかり抜けているようだ。
部屋探しの時に手伝って貰ったので、一応妹はワイの家を知っていたが、昔から道を覚えるのが苦手な妹が、どうやって一人でここにたどり着いたのか疑問に思っていたが、話を聞いてワイは何となく納得した。
それなら点が線になって繋がる。
いつもと違った表情に感じたのも、一言も話さなかった事もだ。
「 お姉ちゃんは多分、お兄ちゃんについてた悪いモノを持って消えちゃったんだ・・・。」
ワイはそれ以上妹に聞かなかったが、だらし無い兄はどうやら姉と妹に救われたようだ。
“ いつまでも、姉や妹を心配させてはいけないな・・・。”
と思い、この出来事を機に少し時間は掛かってしまったが、ワイは社会復帰した。
そして以前使っていたSNSのアカウントを整理した時に、ふとフォローリストを見ると、あの手酷く裏切られた女性のアカウントがあった。
「 趣味で、たまにコスプレしてます!」
アイコンには、マクロスFのランカにコスプレした、あの女性が写っていた。
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