日々の恐怖 10月14日 タヌキ(5)
ある日、お袋が買い物に行っている時にお絵書きを始めたが、途中で書くものが無くなって、和室の押入れの襖なんかにも書き殴ったらしい。
案の定、帰宅したお袋が激怒して、書いた物全て捨てられたみたいだ。
その時に、お気に入りの一枚だけ隠したと言う。
当然、みんな絵が気になる。
姉貴に、
「 見せろよ!」
と言うと、渋々見せてくれた。
何だか良く判らないものだ。
「 狸・・・?」
「 犬・・・?」
「 猫・・・?」
「 狐・・・?」
「 ピカソみたいだ・・・。」
様々な意見が出た。
姉貴に、
「 何、これ?」
と聞くと、
“ムスッ!”
としながら、
「 たしか、馬・・・・・。」
と答えた。
これを、
「 馬だ。」
と言う姉貴も凄いが、
「 自分の絵だ。」
と思う狸の感覚も素晴らしい。
伯母のアドバイスを基に、写真立てに入れて神棚の端に置くことにした。
「 昔から、姉貴ちゃんの周りにいるのは知ってたけど、悪くないものだから放っといたの。
こんな事になってるのは、今日初めて判ったわ。
姉貴ちゃんの周りで守ってるんだから、姉貴ちゃんも拝みなさいね。」
と言って、伯母さんはケラケラ笑っていた。
運の良い姉貴だが、男運はまた別物みたいだ。
今年29才で、来年大台に乗る。
身長164cm、体重・B・W・Hは不明。
CカップのO型で蠍座の女だ。
誰かもらってくれないか?
もれなくタヌキが憑いてくるぞ。
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