日々の恐怖 1月20日 小屋(4)
すると、下から見たらガードレールに見えたものが、ありませんでした。
“ これと見間違えたのか~!”
みたいなものも何もなく、
“ なぜわたしはガードレールが見えたんだろ・・・?”
と不思議な気持ちでした。
多分これも、先に進むと元の道に戻れるっていう期待が見せた幻覚だと思います。
それで、
「 もう戻る?」
という話になりましたが、険しい斜面を登った直後で、またあの道を戻る気になれず、完全に遭難する人の思考みたいですが、しかも斜面の上にはまた道っぽく見えるものがあったので、進み続けました。
その間、何度か行く先にガードレールが見えて、着いたら無くて、みたいな経験を繰り返しました。
そのうち、初めての幻覚ではない人工物が見えてきました。
この時点で、すでに人が入り込めるような場所じゃなかった気がします。
それは、よく畑のそばに建ってる、用具入れの様な小さな小さな小屋でした。
ただ、小屋というより、壁も剥がれて天井もなく、小屋を木が貫いてるところもあるし、ぎりぎり床が残ってる程度のものでした。
ただ、そのわずかに残った床に、ブラウン管のテレビのような人工物も置かれていて、
“ 人が、かつていたんだろうな・・・・。”
という雰囲気が残っていました。
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