日々の恐怖 10月5日 曰く付き物件の日常(3)
(4)入居して半年
仕事で会社に泊まりがけになることが多くなった。
都内で遊びたいということもあり、妹は留守がちな家主に代わって泊まりに来るが、それでも連泊は嫌がる。
「 アレさえなければいい立地の部屋なのに・・・・。」
と、よく言っていた。
俺はそんな夢や幽霊は見ないので、あまり深く考えないことにする。
仕事面では評価されて、新しい職場で徐々に上向いてきたように思う。
技術職なので、オカルトとは無縁だ。
しかし職場のビルが古いからか、度々守衛さん達の怪談を耳にする。
食器は相変わらず割れる。
置き方が悪いようには思えない、平置きしているのだ。
来客には謝りながら皿一枚、コップ一枚なので紙皿と紙コップを使って貰っている。
そういえば、食器少なくなった。
風呂場の換気扇たまにつけ忘れてるのかな・・・・?
いや、消した覚えも無いぞ。
放置バイクは相変わらず庭にある。
問い合わせてみたが、依然持ち主は名乗らず。
住人の誰かの持ち物だとは思われるとのことだ。
共有玄関の自動ドアが、いつも開きっぱなしになっていることに今更気づいた。
スイッチをオンにしようとしたところ、珍しく同じマンションの住人に会う。
たまに開かなくなるのでOFFのままにしているとのことだった。
たまに開かないってなんだよ。
翌日、財布を無くす。
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