日々の恐怖 9月28日 曰く付き物件の日常(2)
(2)入居して1ヶ月
「 地震が来るよ。」
楽しそうな、いたずらした時の含み笑いのような声に目を覚ます。
空耳かと思ったが、違った。
激しい揺れ。
東北の大地震の影響で、勤め先のプロジェクトが軒並み頓挫し、いきなり仕事を辞めることになった。
まぁ、天災では仕方ない。
室内で視線や、シャワー時に歩く気配を感じるが、全て新生活のストレスだろうと思っていた。
酷いのは台所の天井付近のところだった。
照明が届かなくて異様に暗いので、照明の傘を外すことにした。
密閉されていて湿度が高い気がするので、常に風呂場は換気扇を回しておくようにした。
(3)入居して3ヶ月
新しい転職先が決まって、働き始めて一週間。
家に帰って、
「 ただいま~。」
とドアを開ける。
「 おかえり。」
「 は~い、ただい・・・・、え?」
明かりを点けるも誰もいない。
少し怖くなり始めた。
なんか最近ツイてないことが多い。
寝てる時に皿やコップが落ちて割れる。
余震の影響だろうと考え、置き場所を変える。
妹や友人が週末遊びに来るようになった。
泊まっていってくれるので、怖さや不安は半減した。
ただ、泊まると必ず怖い夢を見るというので、妹はたびたび飛び起きる。
そのうち、隣の一軒家の解体が始まり、新築工事がスタートした。
騒音がひどく、日中は家に居たくない。
半年くらいの工事日程が書いてあった、引っ越したばかりなのに・・・・。
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