日々の恐怖 1月27日 マンション(1)
これは私たち夫婦が10年以上住んでいる、築40年のマンションでの話です。
仕事帰り、いつものようにマンション駐車場に車を停めた夫が、地下からの階段を1階に向けて上がって来ると、上がりきった1階ホールに4、5歳くらいのおかっぱの少女が立っていて、
「 こんばんは。」
と声をかけてたそうだ。
夫も、
「 こんばんは。」
と返し、薄暗い足元に目を戻した。
このマンションに越してきて当時5年以上経つが、その少女は初めて見るなと思い、ふと周りを見ると、その少女は消えていたそうだ。
階段を登りきったところには部屋は無く、2階へ続く階段を上がる音も、廊下の先のドアが閉まる音も全くしなかったとの事だった。
帰ってきた夫が神妙な面持ちで聞かせてくれた。
もちろん私もそんな少女は見た事が無いし、しかも夫が帰ってきたのは23時を回った頃だった。
夫が言うには、少し古めかしい格好をしていたそうだ。
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