日々の恐怖 1月29日 マンション(2)
このマンションは今も住んでいるのですが、同じくこのマンションで数年前に起きた話です。
マンション1階管理人室には70代くらいの夫婦が住んでいて、午前中はマンションの共用部の掃除や管理をしてくれていた。
奥さんの方は親切で良く世間話をしたものだ。
管理人室の玄関側の窓にはいつも新鮮な花が活けてあって、暗くなってから帰ってくると花の香りがホッとさせてくれた。
旦那さんの方は何だか不思議な雰囲気で、いつもニコニコしていて趣味で絵を描いていた。
私は夫婦で6階に住んでいる。
1階にエレベーターを使って降りる際、ある時を境に、誰も押さないのに2階で止まることが頻発した。
もちろん、押し間違いではない。
2階で止まって扉が開いた先に見える廊下は薄暗く、いつも何か嫌な雰囲気が漂っていた。
一度好奇心から、上半身だけをエレベーターから乗り出して辺りを見回したことがあるが、
誰もいず、ただ薄暗い廊下が続いているだけだった。
夫にも確認したが、やはり押していないのに2階で止まることが多いとの事だった。
そんなことが続き、3ヶ月程経った頃だろうか。2階でしょっちゅう止まるエレベーターにもすっかり慣れた頃だ。
先の少女の事もあり、おしゃべり好きの管理人の奥さんに水を向けてみた。
「 何かあのエレベーター、2階でしょっちゅう止まるんですけど、故障ですかね?」
すると奥さんは意外なことを喋りだした。
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