日々の恐怖 10月26日 人形(1)
俺の実家は寺をやってて、親父が憑き物祓いや人形供養してるのを何度も見て来たが、今までで1番怖かったのが赤ちゃんの人形だった。
ミルクとか飲ませるような結構デカイ人形だ。
当時10歳くらいだった俺は、夜トイレに起きると、人形部屋(供養する人形や、供養前の人形を集めた部屋)から、
「 ミャー、ミャー、ミャー、ミャー。」
と猫のような鳴き声が聞こえたので、部屋に入って電気をつけた。
そしたら、ダンボールにガムテープをぐるぐる巻きにした箱があって、中からミャーミャー鳴き声とガリガリひっかいてるような音が聞こえ、
“ 中に猫がいる!”
と思った俺は、ガムテープをはがしてダンボールの蓋をひらいた。
途端に鳴き声が止まり、中を見ると、中にいたのは猫じゃなくて赤ちゃんの人形だった。
普通寝かせると目をつぶるタイプの人形なんだけど、目をパッチリ開けて俺の顔を見ていた。
俺は怖くなって逃げようとしたが、数歩後ずさったとこで腰を抜かし恐怖で動けなくなった。
ただひたすら箱を見ていると、箱がガタガタ揺れて人形の手が出てきて、箱の縁を掴んだのが見えた。
“ 出てくる!”
って直感的に思った俺は、目を瞑って叫びまくった。
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