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日々の恐怖 4月12日 白狐(5)

2023-04-12 20:03:35 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 4月12日 白狐(5)





 お祖母さんの話を、麦茶を添えてあーちゃんと二人で聞くこととなった。
あーちゃんのお祖母さんの麦茶は、砂糖が入ってるから余り好きじゃなかった。
 麦茶に手を付けず、とくちゃんに聞いた話をする。
この謂れは本当かと。

「 そんな話は聞いたことないねぇ。」

お祖母さんはあっさり否定する。

「 でも犬に殺されたってのは聞いてるよ。
その狐を鎮めるために、神田神社は建てられたのね。
節句の祭りで神楽をやってるでしょう。
あの時に付けるお面は狐面だからね。
お狐様を奉って、この辺りを守ってくださいってお願いしてるんだよ。」

すごい信憑性があった。
 寂れた小さな神社だけれど、とある節句の時はわりと大掛かりなお祭りをしていた。
初詣よりも縁日よりも、節句のお祭りは派手。
神輿も出て神楽も催される。
それでも御神体は、本殿の奥は公開されなかった。
 屋上から本殿の中を見たことを話した上で、

「 あの石像がまた見たいんです。」

と頼んでみると、

「 それは無理だねぇ。」

と一蹴された。

「 本家の人間なら立ち入られるから、うちの養子になりなさいな。」

帰宅後、母親にあーちゃん家の養子になると言ってみたけど、

「 馬鹿言ってないで宿題しなさい。」

の一言で話は終わった。










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