日々の恐怖 4月8日 白狐(4)
山葵の茎に棘なんてないことは知っていた。
茎のおひたしは、うちでよく出るメニューだったからだ。
この辺りはずっと宿場町だった、と生活かなにかの授業で聞いていた。
大昔は農地もたくさんあったのかもしれない。
それでもこの辺りに山葵が自生出来るような清流があったとも思えない。
でも、話はまとまってるし、犬に殺されたというリアリティは感じ取れた。
それでも私の感想は、
” よく出来た話だなぁ・・・。”
止まりでしかなかった。
なので私の顔には、不信感が浮かんでいたのだと思う。
今思い返せばとくちゃんには申し訳ないことをした。
とくちゃんは、この辺りに古くから住んでる人に聞いてみてたらいいよとアドバイスをくれた。
当時の私の親友は、大地主の家の娘だった。
近隣一体にあるマンションや賃貸物件、空き地や農地に至るまで、土地という土地はその家の物。
同じ名字はほぼ全て一族。
その本家の娘が、親友のあーちゃんだった。
すぐ近くに住んでいたので、あーちゃんとはほ毎日遊んでいた。
お祖父ちゃんんとお祖母ちゃんにも、毎日顔を合わせていた。
昔の事を知っているBBAがこんな身近にいたとは。
その日の放課後、いつも通りあーちゃんの家にいった。
あーちゃん家は入り口に大きな門がある。
その門から家までがとても長い。
お祖母さんはよく、その門から家の間にある芝生を手入れするのが日課のようだった。
その日も、お祖母さんは芝生に水をやっていた。
いつも通り挨拶を交わして、お祖母さんに聞いてみた。
「 学校裏の神田神社について知りたいんですけど、何か知りませんか?」
「 あの神社の管理はうちでしているから、知りたいことは教えてあげられるよ。」
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