日々の恐怖 2月24日 お祓い(1)
6年ほど前の話です。
その年の夏、俺は大小様々な不幸に見舞われていた。
仕事でありえないミスを連発させたり、交通事故を起こしたり、隣県に遊びに行って車にイタズラされた事もあった。
原因不明の体調不良で10キロ近く痩せた。
そして何より堪えたのは、父が癌で急逝したことだった。
そんなこんなで、
「 お祓いでも受けてみようかな・・・・・・。」
なんて思ってもない独り言を呟くと、彼女(現在嫁)が、
「 そうしようよ!」
と強く勧めてきた。
本来自分は心霊現象自体には否定的(こういうヤツが一番多いんじゃないか?)で、お祓いが利くなんて全く信じちゃいなかった。
自家用車に神主が祝詞をあげるサマを想像すると、シュールすぎて噴き出してしまう。
そんなものを信用するなんて、とてもじゃないが無理だった。
彼女にしても、それは同じ筈だった。
彼女は心霊現象否定派で、なお且つオカルトそのものに興味がなかった。
だから俺が何の気なしに言った“お祓い”に食いついてくるとは予想外だった。
まぁそれは当時の俺が、いかに追い詰められていたかということの証明で、実際今思い返してもいい気はしない。
俺は生来の電話嫌いで、当時、連絡手段はもっぱらメールが主だった。
だから彼女に神社に連絡してもらい(ダメな社会人です!)、お祓いの予約を取ってもらった。
そこは地元の神社なんだけど、かなり離れた場所にあるから地元意識はほとんどない。
ろくに参拝した記憶もない。
死んだ親父から聞いた話では、やはり神格の低い神社だとかだった。
しかし、神社は神社だ。
数日後、彼女と二人で神社を訪ねた。
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