日々の恐怖 10月16日 辞めた理由(3)
それで、入社から3ヶ月くらい経った頃かな。
先輩3人と俺の4人が残ってちょっと急ぎの仕事を進めてた。
といっても、同じ作業をしてたのは俺と先輩1人で、後の2人はそれぞれ別のことしてたけど。
一緒の作業してた先輩が、
「 終わったー!」
って言って、俺もちょうど区切りがついて、他の先輩2人もきりがいいみたいだから、
「 じゃあ帰ろうか。」
って話になった。
それで、まあ会社のルールとして、
“ 列の最後の一人は、帰る前にその列のデスクをチェックする。”
ってのがあった。
それは、PCの電源をちゃんと切ってあるか、みたいなのをチェックするんだよね。
ただ俺は性格上、全部の列をチェックしないと落ち着かなくて、一つ向こうの列のデスクをざっと見た。
まあ、異常なし。
それで、その向こうの列が一番奥の列なんだけど、その列だけ、ちょっと高めのパーティションで仕切られてて、外から見えない。
ちょっと重要なデータとかを扱ってて、来客の時とかにも見られないようにするためらしい。
デスクの後ろには書類棚が並んでる。
そこを覗くと、一番向こうのデスクで先輩がまだゴソゴソやってたんだ。
椅子に座って作業してたみたいだけど、デカいタワー型PCが置いてあって顔は見えなかった。
“ じゃあこの列は先輩に任せよう。”
と思ってオフィスのドアに向かった。
先輩は3人、そこにいた。
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