日々の恐怖 8月22日 古いアパート(2)
ある時、家に帰ると押入れから物音がしたような気がした。
押入れを開けたが、当然誰もいない。
何日かして、風邪でバイトを早退し、いつもより早めに帰宅した。
ドアを開けると、そいつはいた。
使った後の割り箸を舐めながら、その女は俺を見た。
俺は大声を上げ、外に逃げた。
近所の人に警察を呼んでもらい、パトカーが来た。
事情を説明して、部屋を調べてもらった。
外で待っていたら、女の喚き声が聞こえ、警察官に捕まり出てきた。
翌日、警察に呼ばれ教えてもらった。
犯人は隣に住む1人暮らしの女性で、精神的に病んでいて通院中だそうだ。
古いアパートだから押入れの天井はすぐ外せるらしく、そこから出入りしていたそうだ。
理由は、最初は隣人への好奇心らしかったが、それが恋愛感情に変わったそうだ。
俺が隣人のその女を見たのは、その時初めてだった。
髪の長い痩せたその女の風貌が気持ち悪かった。
警察官に言われた。
その女は精神疾患だからすぐ釈放される。
引っ越した方が安全だ。
とりあえず荷物をまとめ、友達の家に転がりこみ、少したってから今のアパートに移った。
そんな事から1年程たち忘れかけてた頃、アルバムを整理しようと開くと、その女の写真が俺の写真の横に貼られていた。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ